COLUMN コラム
二人の元総長
7.21
総長と言っても暴走族のリーダーの話ではない。第28代東京大学総長の小宮山宏さん(81)と第26代京都大学総長の山極壽一さん(74)の話だ。奇しくも十日あまりの間に両方の知己を得た。お二人とも意気軒昂で、年下の私は大いに勇気、いや大いに煽られた(笑)。
共通しているのは、これからの社会の在り方について危機感をお持ちだという事だ。最近、歳をとってわかってきた事がある。ともすれば、年寄り(私を含めてだが)の論調が、「昔は良かった、今は駄目だ」という風に聞こえてしまうが(中には言っているケースもあるなあ)、実は、そうではなくて、良くなっていない事に、焦点を当てているだけだ。
人生のひと山を超えた、こういう人との対話は実に楽しい。なんというか、裏切ることのないその人そのもののテイストが、じわじわと滲み出てくるからだろう。言葉を受けるたびに、話を返すたびに、しんしんと私の心が安堵していくのがよくわかる。
「この杯を受けてくれ、どうぞなみなみ注がしておくれ、花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」
初めてお会いしたにも関わらず、『勧酒』の一節を思い出す。

